中国市場のチャネル開拓、成功の秘訣は?~担当社員に聞いてみました~
米中対立、コロナ、ウクライナにおける戦争などにより、世界の経済と政治環境は今大きな変革の時を迎えています。この流れがすでに海外へ進出している企業や、今後海外展開を加速しようと検討中の企業に大きな影響を与えています。
人口規模や消費力を考えると、海外市場開拓先は今後も米国、中国と欧州が引き続き有力な選択肢となりそうです。しかし、海外は地理や言語、商習慣が異なるため、国内で市場を開拓するよりハードルが高いですし、チャネル開拓はより一層困難です。
今回は、近年RISEで立ち上がった中国事業支援室がご支援している「日系企業の中国ビジネス」について、実績紹介を交えつつ、課題と解決策について解説します。
■中国市場のチャネル開拓についての課題
海外市場を開拓するときにやるべきことはたくさんありますが、中でも特に難しい作業が「チャネル開拓」です。
現地市場の状況や商習慣、リレーションなどから大きく影響を受けるので、今まで国内市場で培ってきたノウハウとリソースが活用できる場は限定されてしまいます。
日系銀行の中国拠点を担当している社員に話を聞いたところ、実際に課題を抱えている日系企業が多くあると話していました。上海などの大都市に拠点を設置したものの、市場開拓の段階になってからチャネル開発に難航していた企業も多いといいます。
「中国マーケットはアプローチ方法やスピード感が日本と全く異なるため、せっかく日本市場で培ったノウハウがあっても、まったく同じやり方では通用しません。ですから、新事業の立ち上や、既存事業のマーケット展開をどうやって行うべきかわからず困ってしまう企業が多いのです」。
■なぜ中国市場チャネル開拓に壁があるのか
日系企業は、米国と欧州市場におけるチャネル開拓であれば比較的成功しやすいと言われていますが、中国市場では一般的にやりづらいイメージがあります。それはなぜなのでしょうか。
まず、中国のビジネス環境は独特で、欧米での成功経験をそのまま活用するのは難しいといえます。具体的にどのような壁が存在するのか、これまでRISEが支援してきた実績を交えて紹介します。
①言語と知見の壁
チャネル開拓の第一歩としては、現地の業界に対する知見や現地の情報を収集する能力が求められます。
中国は一見デジタル先進国であるかのうように思えますが、市場の動向や企業の情報をデータベースする動きは他国に比べて遅れています。そのため、チャネル開拓に向けた情報収集やその情報が信憑できるものかを判断するときに、手間と時間がかかってしまうのです。現地市場の最前線にアンテナが張られているかどうかで、この作業の効率性とアウトプットの質が決まります。
ときには既出の情報だけで済む場合もありますが、チャネル開拓の場合、最新かつ詳細な情報が必要となる場面が多くあります。
今年、ある日本の大手小売業者からRISEに対し、中国における事業運営についてご相談がありました。企業の意思決定者は日本の本社に在籍しており、コロナの影響で現地に行って詳細状況を把握することができないため、社内で悩んでいました。
そこで、RISEが①外部環境(外資投資環境・政策の詳細と動向)、②内部環境(顧客の小売拠点の立地、入居店舗、客数等)、③お客様評価(実際に通う消費者の利用状況と意向等)という三つの観点で情報を取得して分析し、現地へのスタッフ派遣を含めた経営判断に活用していただきました。
②アプローチの壁
現地の政府機関や企業とのリレーションがあれば、どの国でもチャネル開拓がスムーズになります。これは中国も同様ですが、大手企業を除くと、受付が電話に出なかったり、出たとしても担当部署に転送してくれなかったりということが多くあります。そのため、企業間のオフィシャルなコンタクトをもとにしたリレーション作りは極めて難しいです。特に、新規事業開発ではほかの分野でリレーションを作っていても転用できる例はほとんどありません。
つまり、特定領域のチャネル・企業に対しては、安定的で成功率の高い手法をとることが望ましいといえます。
RISEはある日系大手機器メーカーが新規事業として中国の特定領域に参入するときのチャネル構築をご支援しました。通常であれば、コールドコールでアポ取りのコンタクトをしますが、中国では成功率が低いです。さらに、その事業領域はニッチであったため、クライアントとRISEの両方が候補チャネルにおけるリレーションをほとんど持っていませんでした。
そこで、候補企業の中間層またはトップ層にアプローチするための人脈とコンタクト方法を用いることにしました。結果として、業界のリーディング企業とのパイプを構築することができ、チャネル開拓成功に向けての第一歩を踏み出すことができました。
③商習慣の壁
いざ候補チャネル・企業との会話する機会が生まれても、肝心な商談で難航してしまい、成功に至らなかった事例も多くあります。その原因は、双方のシーズとニーズがかみ合わないことがほとんですが、中国の独特な商習慣にうまく対応できていないことも挙げられます。
中国には「将来のビジョンより目先の利益」「正当性よりスピード」など、日本とは異なる商習慣があります。例えば「スピード」については、リードタイムの長いメールより、いつでもどこでも連絡できるようなSNSツールが多く活用されていますし、商談後のネクストアクションは来週ではなく今日や明日といった短い期間で求められる傾向が強いです。
もちろん、他国の商習慣に無理に合わせる必要はありません。理想は、両者が受け入れられる折中案を用いることですが、そういった案を考え、維持していくことのできる人材が必要です。
前述した日系大手機器メーカーも同じような悩みを持っていたので、RISEは商談先との架け橋としてご支援を行いました。
具体的には、まず両社の事業ビジョンと直近の取組を十分に把握しKSF(Key Success Factor)を見つけ出しました。そして、両社の需要と利益に応える提携案を作成しました。その結果、商習慣の壁を越え、効率的な商談を行うことができたうえ、クライアントにとって、中国市場における有力なチャネルとの提携推進へとつなげることができました。
④ゼロコロナ政策の壁
中国では世界一厳しいコロナ感染拡大対策「ゼロコロナ政策」をとっているので、日本からの移動・訪問に大きな影響が出ています。
RISEでは、数名の社員が今年の夏に中国へ出張しました。
当時は入国後にまず、指定のホテルで10日間隔離されました(2022年11月より8日間に短縮)。その後、スマホ上で「健康コード」のアプリへ登録を行います。政府はこのアプリを介して個人の移動履歴、PCR結果などをモニタリングし、感染リスクが高い地域の移動履歴や、PCR検査の実施状況(都市によっては1日1回のPCR検査が義務化されている)を調べています。
感染リスクが疑われる場合、健康コードにエラーが表示(コードの色が緑色から黄色、または赤色に変わる)され、外出・移動が制限されます。個人に限らず、ビルや地域全体が閉鎖されることもあります。
RISEが現地でご支援していたときにも、訪問を予定している企業が入居しているビルにたった1人の感染者が出ただけで、ビル全体が約2週間閉鎖されてしまいました。
この政策下において、ビジネス活動への影響を最小限に抑えるために、RISEは以下の三つのポイントを念頭に入れて現地での活動を行いました。
① 常に全国と各地の最新コロナ政策をモニタリングすること
② 過去の実績と直近のイベント踏まえた都市のコロナ感染リスクを推測すること
③ 臨機応変に移動・訪問計画を調整すること。
結果として、当初の計画通りに訪問をすすめることができました。
■これから中国市場への進出を目指す皆様へ
RISEの中国事業支援室では、中国市場への進出や新規事業創出のご支援を行っています。現地における市場や環境の調査を含め、サービス開発からリリースまで、幅広いコンサルティングサービスをご提供しています。
多くの企業が課題を感じている「チャネル開拓」については、特に多くの知見とノウハウを持っています。具体的には、クライアントの要望に基づいてチャネル開拓のKSF(成功要因)を見極めたうえで、最適な候補チャネルを探索・抽出していきます。その後、訪問機会の創出と商談を代行し、常にクライアントと伴走する型でご支援を行っています。
中国でビジネスを展開するにあたり、悩みや不明点をお持ちの方々は多いと思います。
どうすれば成功できるのかわからない、課題を解決したい、そんな時はRISEへご相談ください。
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