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プロジェクト紹介vol.152 大手SI企業様に向けた「気候変動対応検討支援」

こんにちは!
ライズ・コンサルティング・グループ広報担当です。
 
今回は、当社が現在ご支援させていただいている、大手SI企業様に向けた「気候変動対応検討支援」についてご紹介させていただきます。
  

■プロジェクトの背景

クライアントは日本を代表する大手SI企業です。
近年、我々を取り巻く気候変動問題はますます深刻化しており、企業活動を行う上でもこの問題に対応していくことは不可欠です。とりわけ、気候変動の原因とされる温室効果ガス排出量を削減することは、まさに今グローバルの課題として捉えられ、各国で様々な対応が加速しています。日本国内においても、官民で総力を挙げた取り組みが求められており、各企業での「カーボンニュートラル」に向けた中長期的な目標設定や具体的な削減対応が進んでいます。
そんな中、同社はいち早くサプライチェーン全体を巻き込んだ温室効果ガス排出削減によるカーボンニュートラルの目標を設定し取り組みを進められています。
そして今回、同社への過去のご支援実績や現在進行中の他部門へのご支援実績を評価いただき、サプライヤを含めた排出量の削減に向けたロードマップ作成とサプライチェーン上流の排出量算定のロジック検討についてご支援の機会をいただきました。
 

■クライアントの課題に対して、どういう想いを感じたか?

気候変動については、各社対応が必要だと認識しつつも、どう推進していくかを含め手探り状態でまだ着手できている企業は多くありません。そんな中、同社はいち早くカーボンニュートラルにおけるサプライヤを巻き込んだ取り組みを実施されており、そのような先進的な企業を支援させていただくことは、まさにライズの経営理念である「Produce Next(日本の再生のために次の未来を創造する」に合致したプロジェクトだと感じました。


■RISEのアプローチ

今回のプロジェクトの支援内容は大きく分けて2つのフェーズがあり、1つ目は2030年度の温室効果ガス削減目標に達成に向けて、クライアントが取るべきアクションを時系列で整理したロードマップ作成、2つ目はロードマップに沿ったアクションの実行支援となります。
 
1つ目のロードマップ作成支援の中では大きく分けて3つのアプローチをとりました。
 
1.       仮説構築
2.       各サプライヤの取り組み状況を分析
3.       分析結果を踏まえたアクション案の修正
 
まずは、一般的な温室効果ガスの排出量削減の取り組みを踏まえ、クライアントがサプライヤに対して実施すべきエンゲージメントを基にロードマップを作成しました。その際、サプライヤを調達内容に応じていくつかの区分に分類し、それぞれの調達区分に応じた排出量削減アクションを検討しました。
その後、CDP(※注釈:イギリスで設立された国際的な環境非政府団体(NGO))を通じて取得した各サプライヤの排出量削減に向けた取組について、可視化・削減の目標設定・削減アクションの実行という3つのステップに分類し、調達区分ごとに各ステップへの取り組み状況の傾向を分析しました。
それらの結果から、最初に立てた仮説ベースのロードマップに対して、調達区分ごとの各社の取り組み状況も考慮したエンゲージメント方針など、今後重点的に取り組むアクション案を修正致しました。
 
2つ目の実行支援として主に実施した算定高度化のロジック検証の中では、大きく分けて3のアプローチをとりました。
 
1.       検討したロジックを基にした実算定
2.       実算定結果をもとにしたロジック案の分析
3.       ロジックの修正
 
もともと算定高度化のロジック検討に関しては、クライアントの他部署の支援で検討させていただいていました。そのため本支援の中では、すでに検討されたロジックを他部署の支援メンバーから引き継いで、実際の算定を実施するところから開始しました。理想像として検討した算定ロジックに対してデータ制約やオペレーション上のリソース制約などを考慮した実現可能な算定実務にはギャップがあるため、このギャップを最小化するための現実的な落としどころをクライアントとの日々の討議を通じて模索しました。
次に、こうして算定した結果についての経年での変化や調達区分ごと傾向について、分析を行いました。サプライヤの実際の傾向や算定方法に依存する傾向を切り分けることで、検討中のロジックに焦点を当てた追加検討を実施しました。
算定ロジックとして新たに発生した課題については、修正案を作成し、クライアントとの対話を通して最終的な方針を固めました。
 
今回のように2つのフェーズに対するアプローチは、”紙書き”で終わらず、クライアントとワンチームで戦略策定から実行までコミットする「More than Reports」を体現した進め方でした。また各フェーズの中で、仮説と実際データを用いた分析結果を交えてクライアントと議論しながら成果物を作り上げていくスタイルは、「Hands-On Style」ならではの支援となります。
またそのほかにも、支援期間中に発生したクライアントの追加依頼についても柔軟に対応することで「Scopeless」な支援を実施させていただいています。

■何が大変だったか?その時、どのように乗り越えたのか?

プロジェクトを通して、苦労した点は大きく2つあります。1つ目は「クライアントが実行可能な範囲でのエンゲージメント方針を検討する必要があった点」、2つ目は「算定高度化を目指すロジックに関してTo Be像とのGapを埋める必要があった点」です。
 
1つ目について、実際に世の中で取り組まれている脱炭素の施策や仮説ベースで考えうる施策など様々な取り組みを実行することができれば、サプライヤも含めて温室効果ガスを削減していくことは可能だと思います。ただし、当然のことながらすべての企業で一律に削減アクションを実行することは難しく、またサプライヤに対してクライアントから強く要請することはできません。
そのため、まずは弊社で検討した施策案をベースに、打ち合わせを通じてクライアントとしてサプライヤに働きかけることができる施策内容についての意識合わせを行いました。そして最終的に、クライアントにご納得いただいたアクションをロードマップに反映しました。
 
2つ目について、高度化する算定ロジックについての正解が無い中で、クライアントが取得できる情報を用いてどこまで精緻に算定することができるのか、を判断しなければいけませんでした。
To Be像としては、すべてのサプライヤが排出量を可視化・目標設定・削減アクションを実行するという世界を2030年度に目指す一方で、As Isとして排出量を可視化できている企業がそこまで多くないという現状を踏まえたロジックにする必要があります。
その中でも特に、可視化できていない企業の排出量の推計をどのように行うか、また今後そのような企業が可視化できたときにどのように対応していくのかという点が難しかったです。
以上の点については、クライアントと徹底的に議論を行い、最終的にクライアントが目指したい方針をできるだけ実現しつつ、将来可視化が進んだ際の誤差を可能な限り小さくする形でロジックを構築することができました。
 

■プロジェクトの成果

1つ目のフェーズについては、具体的な実施例等が無い中でクライアントが考えていること、クライアントが実際に実施可能なこときちんと把握しながらロードマップ作成を実施致しました。そして現在もこのロードマップに基づいてクライアントのカーボンニュートラルにおける活動は推進されています。
 
2つ目のフェーズについては、クライアントの排出量算定のうち、本社単体に関しての算定ロジックを構築し、過去の基準年から現在に至るまでの排出量算定を実施いたしました。
クライアントからは、具体的な数字を用いた推計値試算や、データ分析結果を踏まえたロジックの検討について、ご評価いただいております。引き続き、クライアントのご要望にお応えできるように努めたいと思います。
 
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