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プラクティス紹介③:Green Transformation (GX)/脱炭素化を通じクライアントの成長を支援する

こんにちは、ライズ・コンサルティング・グループ広報担当です。
今回は、プラクティス紹介の3回目、環境・エネルギー領域の課題に取り組む「Green Transformation (GX)」について解説します。
世界的にも注目度が高い分野に対し、RISEがどのような支援を行っているのか、ぜひご覧ください!

◆プラクティス制度については過去記事をチェック!


◆はじめに:脱炭素に舵を切った国際社会と産業界

日本政府は2020年10月、2050年までにカーボンニュートラル(CN)へコミットする宣言を発表しました。既に2050年までのCN計画を発表しているEUと、2060年にCNを目指すと表明した中国、バイデン政権成立後は脱炭素に向け積極的な姿勢を示す米国とあわせ、主要国すべてがCN宣言をしました。そのほか、2050年までにカーボンニュートラルを表明した国は125か国に登ります。
同時に、各国ではその達成に向けて、グリーン成長戦略に基づく財政出動計画が提示されました。これに伴い、制度設計、市場創設、技術開発、消費の行動変容等を通じて脱炭素社会を実現する動きが本格化しています。このような外部環境の変化に呼応し、各サプライチェーンを牽引するリーディングカンパニーを皮切りに、金融界、産業界全体が脱炭素社会へのルール変更に適応しようとしています。

そこで、私たちはクライアントが国内外で「CN」を契機とした競争力を担保できるよう、オファリング(問題発見)、ソリューション(問題解決)を提供する専門チーム(Practice)として、「Green Transformation (GX)」をローンチさせました。本記事では、その活動概要をご紹介します。

1.2050年脱炭素を目指す産業界の動向

私たちは、産業界が脱炭素に取り組むドライバーに4つの要因があると考えています。

①カーボンプライシング等の税制変更による原価上昇圧力への対応

炭素排出量への課税として、炭素税、排出量取引、炭素国境調整など様々な方法が検討されています。一方で、これらは原価コストを上昇させる要因であることから、打ち手を検討する必要があります。先行企業では対策を抽出しようと、この制度を模して、社内、グループ企業内でカーボンプライシングを実施する「インターナルカーボンプライシング」等が行われています。今後は、目標設定年次(2030年、2050年脱炭素化目標)に対して、制度施行が強化されていくと想定されますので、海外の状況を見据えながら、その予見を持って経営を変革していくことが求められるでしょう。

②機関投資家の投資/ダイベスト・インベストを通じた企業価値の変化と、資金調達コスト増大の恐れ

気候変動問題に対しては、国際機関や国際NGOがいち早くイニシアティブを組成し、ルールメイクを進めています。これが国際金融のデファクトスタンダートになる傾向があり、今後も続くと想定されます。
様々なイニシアティブがありますが、これを束ねる組織としてGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)が組成され、目標設定、移行戦略、ルールメイキングが行われています。
さらに、企業の脱炭素戦略に関する情報開示のイニシアティブであるCDP、TCFDが、各企業の脱炭素戦略のスコアリングと情報開示請求を行っており、多くの企業がそのスキームに参画するようになりました。日本でも、東証プライム市場に上場する企業は、TCFDに対する求めに応じて状況を報告しなければならなくなり、今や脱炭素化戦略は、資金調達をする際に信頼される企業としての必須条件なのです。 

[CDPについて]
機関投資家が連携し非政府組織であり、設立から約20年が経過。参加する機関投資家は、世界で600機関、運用資産は110兆㌦にも達する組織へと拡大しました。CDPの役割は、企業に対し、気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めることです。これに応じた企業の数は世界で13,000社、日本では350社です(2021年時点)。投資家や購買企業は、CDPを通じて対象企業の気候変動の取り組みの情報開示を要請し、その成績を一つの材料として企業の将来性を判断するように変わりました。

[TCFDについて]
気候関連財務情報開示タスクフォースのことで、G20の要請に応じ、金融安定理事会(FSB)で立ち上げられました。CDPのスコアリング手法と連携して、企業に対して気候変動のリスク、機会、財務上の提言を求めます。東証プライム市場に上場する企業は、「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDに基づく質と量の充実を求めるべきである」として、金融庁、東京証券取引所と連携して、ガバナンスコードの改定の機会に実質的な報告の義務化を開始しました。

③サプライチェーンを通じた上下流の関係性からの要請

上記のような要請は、決して上場企業だけに該当するものではありません。サプライチェーンの上下流(調達や販売)の関係性を通じて排出量をカウントする必要があり、サプライヤー企業も、削減努力を求められることになっていきます。サプライヤーに脱炭素を求めた代表的な例に、米国Apple社があり、Supplier Clean Energy Programを通じて、Apple製品の製造に使用する電力の100%を再生可能エネルギーとする要請を行うなど、サプライチェーンの再構築に着手しています。日本のサプライヤーも早急に対応検討が求められています。

④グリーン成長戦略を見据えた事業機会

政府、投資家、納品先から外圧的に脱炭素化を求められるだけでなく、政府や機関投資家の資金はグリーン成長に向かって投資されています。自社のケイパビリティを生かして、先行対応によって積極的に事業機会として活用し、競争力を強化することも可能です。B2Bの事業だけでなく、Z世代を中心にエシカル消費の動きも拡大しており、徐々に脱炭素の製品が消費者への訴求価値を高め、選択される市場が登場するものと想定されます。

私たちのプラクティスが果たす役割は、このような外部環境変化を機会/リスクとして特定し、クライアント企業の成長をご支援することにあります。

2.RISEが提供する「クリーンなサプライチェーンの構築」に向けたサービス

我々はご支援テーマを大きく「守り」と「攻め」に大別して準備しております。

①守りのご支援

具体策を進める初めの一歩は、“己を知ること”です。GXの分野に置き換えれば、脱炭素戦略立案、排出量の可視化・開示、削減目標・ロードマップ策定、削減実行とエンゲージメントの4つの問題から構成されます。これらは、政府や投資家からの要請に的確に回答し、市場からキックアウトされないための「守り」の戦略と位置付けることができます。
RISEでは、各企業が取り組むべきScope1~Scope3の排出量算出をご支援します。中でも注目すべきは、他社の排出量であるため推計が困難であるScope3です。私たちは、汎用的な原単位をぶつける方法ではなく、一定の精度を高めて推計する方法を確立しています。
この算出に基づき、自社の排出量にあたるScope1、Scope2に対する削減計画立案や、再生可能エネルギー等の電力の調達計画を作成、さらにScope3の排出削減のためのサプライヤーへのエンゲージメント施策の検討をご支援します。

◆削減可能なScope3排出量の可視化支援について、詳しくはこちら

②攻めのご支援

クリーンテック分野は、様々な新しいビジネスモデルが登場し、技術革新が著しい領域です。その設計要素には以下5つの領域があると考えています。まず、エネルギーの実物を扱うフィジカルレイヤと、その管理やマッチングを扱うデジタルレイヤ、その中で、再生可能エネルギーを中心とした電気系グリッドと、熱や燃料を代替する水素系のグリッドに分かれており、さらに、発電⁻需要の系統で別途CCS、DACなどの直接的に脱炭素を実現するレイヤが存在しています。
この5つの領域の中で、フィジカルレイヤでは、再生可能エネルギーの開発、水素・アンモニアサプライチェーンの構築、次世代原発の開発などがあります。需要(消費)ではEMS、マイクログリッドやモビリティではEV、V2X等の普及・導入などがあります。加えてDAC(direct air capture)などの革新的技術が登場し、旧来のビジネスモデルを大きく変える変化点になることも想定されます。そのうえで、デジタルレイヤには発電と需要のマッチングさせるための、リアルタイム制御、P2P取引、VPP事業、各種の脱炭素の認証ビジネス、フィンテックなど金融技術との連携など様々な事業モデルが登場しつつあります。
これに、電力事業者、メーカー・ベンダー、SIer、スタートアップ等のプレイヤーが階層構造的に張り付いており、しのぎを削っている状況です。特に、電力や炭素証書には、「品質には大きな差がない」という特徴があり、先行してボリュームを抑えるためには、どのようなケイパビリティを活用して、どのような立ち位置を確保すべきか?が各社にとって主な論点となるでしょう。
GXは、様々な新技術を自社の強みと組み合わせながら、自社のCN実現のオプションや他社へのソリューションの機会とする設計を担っているのです。

3.GXプラクティスの魅力

これまで見てきたように、GX領域は様々な変化の機会があるので、新しい世代が活躍するチャンスだといえるでしょう。
最近、社会問題をビジネスに!という意向を社内外から聞くことが多くなりました。それを形にしようと取り組んでいるスタートアップ企業やプロボノ活動は増加してきているように思います。しかし、社会問題といわれる領域の原因の多くがビジネスに起因していることから、その解決には、事業の本流を転換するための理解と思考が必要です。つまり、ビジネスが駆動するメカニズムを熟知したうえで、制度設計、金融の力(インベストメント/ダイベストメント)、サプライチェーンの転換努力、消費者の支持など、総合的な外部環境変化に視野を持ちながら、クライアントの問題解決を進める確かな着眼点が求められているのです。
脱炭素領域は、それらが同時に起こっている魅力にあふれた領域ということできます。電力・エネルギーに興味のある方、製造業の経験があり、クリーンなサプライチェーンの実現に興味がある方は、この難題にぜひ一緒にチャレンジしませんか?

◆もっと学びを深めたい方へ

RISEのオウンドメディア「格致日新」では、GX分野について詳しく解説した記事を掲載しています!ぜひご覧ください✨


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