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Produce Next Report Vol.49:ブロックチェーン

~第2回 ブロックチェーンビジネスの落とし穴について~

第1回である前回は、ブロックチェーンの特性とビジネスにおける活用分野について解説した。既存のビジネスモデルを一新する可能性がある一方、現時点でのユースケースはかなり少ない。2019年はこれまでの実証実験から、いつか新しいユースケースも生まれていることが予想され、それを機により多くの企業がブロックチェーンを活用したビジネスに挑戦する年になるだろう。第2回である今回は、ブロックチェーンをビジネスに取り入れる際に、気をつけておくべき3つのポイントについて解説したい。

① 法律・規制
ビジネスをする上で大前提の話ではあるが、法律や規制については、より注意を払う必要がある。
コインチェックやZaifといった仮想通貨取引所からの流出が昨年話題になったが、利用者保護やセキュリティの観点で、金融庁を中心に法整備が急速に進んでいる。Fintech関係者はこれらの動向をチェックすることは必須であろう。もちろん、法律や規制の動向は金融領域に限られない。ユースケースの応用性が高いと言われる不動産領域についても、「不動産登記法」などは書面での取引を前提としているため、一部改正が必要であると言われている。
これまで中央集権で管理されてきた仕組みを分散化することが、ブロックチェーンの特徴の1つでもあるため、これまでのルールが当てはまらない可能性は高くなる。各関係省庁の動向を見つつ、ビジネス戦略を検討する必要がある。

② テクノロジー
ブロックチェーンの特性として、「改ざん耐性」「実質的なゼロ・ダウンタイム」「二重支払いの防止」といった強みがあることは前回解説した。一方、ブロックチェーンの弱みとして、以下の点が挙げられる。

 取引確定(ブロックの確定)までに時間がかかる
 処理速度が遅く、大量処理に向かない
 全参加者が全ての取引履歴を参照可能であるため、秘匿性が担保されない

ビットコインやイーサリアムは中央管理者不在のパブリック型と言われ、参加者が不特定多数のため、上記のような弱みを持っている。
一方、このような課題を回避するために、多くの企業では中央管理者を置くプライベート型やコンソーシアム型のブロックチェーンに取り組んでいる。中央管理者が参加者を特定・制限することで、取引の合意形成を容易にし、処理性能も高めている。その一方、導入コストの増大、ブロックチェーン以外の既存技術との差別化が難しくなるというマイナス面もある。
パブリック、プライベート、コンソーシアムのどれが最も優れているのかという話ではない。どれにもメリット、デメリットがあるため、各テックトレンドを分析し、どれが自社ビジネスモデルに適しているのかを検討する必要がある。

③ ビジネスモデル
ビジネスモデルを考える上で陥りがちなのが、「ブロックチェーンで何ができるのか?」という視点で考えてしまうことである。ブロックチェーンありきをベースとして検討しているため、どうしても自社ビジネスとの接点が見えてこない、上手く噛み合わないという状況になる。そのようにならないために、まず「自社として何がしたいのか?そのためにブロックチェーンに何を期待するのか?」という構想が必要である。
一方、矛盾するようではあるが、アクションを起すことも同様に重要である。「そのサービスはブロックチェーンである必要がない、既存技術で実現できる。」という論調をよく見かけるが、ここで検討が止まっていてはもったいない。ブロックチェーンの必然性がなくとも、実際に活用して知見やノウハウを蓄積することで、次のビジネスに活きる可能性がある。もちろん、このような取り組みは小さなリスクの中でスタートさせることが大切である。

次回は、当社におけるブロックチェーンの事例について、解説したい。

※この記事は2019/1/29にFacebookに投稿されたものです。

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